« 酒井司教様たちはローマ巡礼中 | メイン | 大天使聖ミカエルへの祈り »

2025年1月28日 (火)

Doctor Angelicus 聖トマス・アクィナス司祭教会博士生誕800年

 

Stthomas_aquinas13_2

 聖トマス・アクィナス司祭教会博士

 幼い頃から聖母と聖体への信心があつかったトマスは、司祭召命を感じてドミニコ会に入りましたが、両親は高位聖職者になるための修道会に入ることを望んでいたため、ドミニコ会に入ったことには反対しました。二人の兄はトマスを無理やり連れ戻して城の塔に閉じ込め、あの手この手を使ってトマスの心を変えようとしますが、トマスは屈せずに志を貫きました。

 やがてドイツのケルン大学で聖アルベルトの下で勉強していた時、学友たちはトマスのことを「だんまりやのシシリー牛」と言ってバカにしていました。ところが先生の聖アルベルトは「お前たちはトマスをだんまりやのシシリー牛と言うが、今に全世界がこの牛の声を聞くことになる」と言いました。

 その後の偉業は皆さんご存じの通りです。ミサ典礼文、聖歌作詞、聖務日課の編集等々。『アドロ・テ・デヴォテ(Adoro te devote)』『パンジェ・リングア(Pange, lingua)』『タントゥム・エルゴ(Tantum ergo)』などの聖歌は今でも多くの人々に愛されています。そしてなんといっても『神学大全(Summa Theologiae)』ですね。トリエント公会議ではその祭壇の上には「聖書」と「神学大全」が置かれたそうです。

 1273年12月、トマスは著作活動を中断することに決めました。ミサを捧げている時超自然的な啓示を受けて、その時に見たことに比べれば私が書いてきたものはわらしべにすぎないと悟ったからだそうです。トマスの謙遜さと主の偉大さをあらわしている逸話ですね。また、聖トマスの清らかさをあらわす次のような逸話もあります。

 ある朝、聖ニコラウス聖堂の十字架のキリストに聖トマスは「私がキリスト教信仰の神秘について書いてきたことは正しかったのでしょうか」と尋ねました。すると十字架上のキリストはこたえました。「トマスよ。お前はわたしについてよく語った。お前は報いとして何を望むか」。と訊かれたトマスは「主よ、あなたの他には何も望みません」と答えました。(聖堂の香部屋係ドミニクスの話)

 聖アルベルトが言ったように、だんまりやのシシリー牛は偉大な聖人トマス・アクィナス教会博士となりました。


YouTube: Adoro te devote | Thomas Aquinas' most beautiful chant! (Corpus Christi & the Sacred Heart)